東京北医療センターのNDC8期生の大熊です。
地域医療の現場では、都市部とは異なる多くの課題があると漠然的に思っていました。特に、少子高齢化が進む地域では、慢性疾患を抱える高齢者が多く、在宅医療や訪問診療の需要が高まっていると言われています。揖斐川診療での地域医療研修を通じて、特定ケア看護師としてその実態を学ぶことができました。
今回は、そこで得た学びを共有したいと思います。
1. 高齢化と慢性疾患管理の重要性
地域医療では、高血圧、慢性心不全、認知症といった疾患を持つ患者が多く、長期的なケアが欠かせません。特定ケア看護師として、患者の病状だけでなく、生活環境や家族の状況を考慮しながら支援することが求められると感じました。ただ治療を行うのではなく、「その人がどう暮らしていくのか」を見据えた医療の提供が必要であると強く感じました。
2. 訪問診療で見えた在宅医療のリアル
研修中に訪問診療に同行する機会がありました。そこでは、限られた医療資源の中で迅速な判断を下す力が求められることを実感しました。例えば、薬の管理や処置など、特定ケア看護師が主体的に関与できる場面が多くあるなと感じました。医療機関に足を運ぶことが難しい患者に対して、自宅で適切なケアを提供することの重要性を改めて認識しました。
3. 多職種連携の大切さ
地域医療は、医師だけでなく、訪問看護師、ケアマネジャー、薬剤師、理学療法士、社会福祉士など、多くの職種と連携しながら成り立っています。研修では、カンファレンスに参加し、患者ごとのケアプランをチームで検討しました。施設の医師からは、「それぞれの分野でのプロフェッショナルを高めることを継続してもらいたい。」という言葉が印象的でした。特定ケア看護師のプロフェッショナルとは何なのか、改めて考える機会になりました。
4. 地域ならではの救急対応
都市部と比べ、地域では救急の現場に医師がすぐに駆け付けられない場合があります。そのため、特定ケア看護師が初期対応を担うケースもあると感じました。例えば、急変時にバイタルサインを評価し、トリアージを適切に判断することが求められます。迅速かつ的確な判断が患者の予後に大きく影響すると思いました。
5. 地域医療の意義と今後の目標
揖斐川診療での研修を通じて、特定ケア看護師としての役割の広がりを実感しました。地域に根ざした医療は、単に治療を提供するだけでなく、患者やその家族と深く関わりながら生活を支えることだと学びました。患者や家族と共に歩む姿勢を大切にしながら、より良い地域医療の実現に少しでも力になれるよう努力を続けたいと思います。